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監査基準委員会報告書第2号(中間報告)

表題:特記事項


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平成4年11月11日:監査基準委員会

1  本報告書は、特記事項に関する実務上の指針を提供するものである。
2  特記事項は、財務諸表に注記されている重要な偶発事象、後発事象等で会社の状況に関する利害関係者の判断を誤らせないようにするため、監査人が特に必要と認める事項を監査報告書に重ねて記載することによって強調し、それによって利害関係へ注意的情報又は警報的情報を提供するものである。
3  特記事項は、監査報告書に記載されるが監査意見を構成するものではないため、その記載に当たっては監査意見と混同される可能性のある語句又は表現を用いてはならない。記載する特記事項の将来の結果について予見的判断を述べてはならない。また、特記事項の記載は、利害関係者が理解できるように、平易な語句でかつ簡潔明瞭な表現でなければならない。通常、財務諸表に記載されている注記と同一又はそれを要約した記載となる。

監査人の責任

4  特記事項の記載の目的は、利害関係者への注意的情報又は警報的情報の提供ではあるが、記載の仕方いかんによっては利害関係に誤解を与えるとして監査人の責任が問われる可能性がある。また、特記事項として記載すべき事項が存在したにもかかわらず、特記事項を記載しなかった場合においては、監査人の責任が追求される可能性もある。したがって、監査人は、特記事項の記載について慎重に対処しなければならない。

特記事項の記載対象

5  監査報告準則は、特記事項の記載対象として「重要な偶発事象、後発事象等」と規定している。しかし、「等」は、現在予想できない何らかの事象や企業内容開示制度の今後の進展によって新たに追加される事象を予定しているのであるから、今日の企業内容開示制度では、当面、特記事項として記載される事項は財務諸表に注記されている偶発事象及び後発事象のうち特に重要な事象に限定されよう。

特記事項の記載の重要性

6  特記事項を記載するか否かの判断は、専門家としての監査人の判断である。その記載の目的は、1に「企業の状況に関して利害関係者の判断を誤らせないようにする」ことであり、監査対象である事業年度の会社の財政状態及び経営成績に関する利害関係者の判断に資するものでなければならない。記載の重要性の判断基準を一律に示すことはできないが、実務上の一応の目安を示すならば、対象となる偶発事象又は後発事象の金額が著しく重要なため、もしそれが発生しているにもかかわらず財務諸表に計上されていなければ、不適正の監査意見を表明することとなるほどの重要性をもつ場合には、それを特記事項として記載すべきか否かを検討することになろう。

監査報告書における記載箇所

7  監査報告書に特記事項を記載する箇所は、意見区分の後で、利害関係の前に「特記事項」の見出しを付して新たな文節として、次のように記載する。

……(前段階)……

 よって、私たちは、上記の財務諸表が○○株式会社の平成×年×月×日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を適正に表示しているものと認める。

特記事項

 注記事項××に記載されているとおり、……。
 会社と私たちの間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以 上

偶発事象

8  偶発事象は、利益又は損失の発生する可能性が不確実な状況が貸借対照表日現在既に存在しており、その不確実性が将来事象の発生すること又は発生しないことによって最終的に解消されるものをいう。このような偶発事象は偶発利益と偶発損失とに分類できる。
9  偶発損失は、その発生の可能性の程度に応じて次のように分類される。

<1>発生の可能性の高い偶発損失

(ア)金額が合理的に見積もれるもの
(イ)金額が合理的に見積もれないもの

<2>発生の可能性が<1>ほど高くないが、ある程度予想される偶発損失
<3>発生の可能性の低い偶発損失

 上記<1>(ア)の偶発損失については引当金として計上される。
<1>(イ)及び<2>については、現行制度上、その多くが偶発債務として注記するよう要求されているが、これに該当しない場合であっても特に重要と認められる場合には、追加情報として注記されることになると解される。
 また、<3>については原則として注記の対象とならない。

10 特記事項の記載対象となる偶発事象は、上記のうち<1> (イ)及び<2> の偶発損失に該当し、かつ、当該事象が発生した場合には著しく重要な損失が見込まれるものである。これらの事象を特記事項として記載するか否かの判断に当たっては、その記載が企業経営に与える影響の重大さにかんがみ、監査人は、将来発生する可能性のある損失の見込額又は予測額の重要性を慎重に検討しなければならない。

後発事象

11 注記の対象となる後発事象は、貸借対照表日後財務諸表作成日までに発生した事象で、次期以後の財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすものである。このうち特記事項の記載対象となる後発事象は、次期以後の財務諸表に著しく重要な影響を及ぼすものである。これらの事象を特記事項として記載するか否かの判断に当たっては、監査人は、次期以後の財務諸表に及ぼす影響の重要性を慎重に検討しなければならない。

特記事項の記載例

12 特記事項の記載対象となる偶発事象及び後発事象は、財務諸表に注記されている。これらの特記事項は、次の記載例のように当該注記等を引用して記載する。

記載例1 他社に対する債務保証の履行の可能性がある程度見込まれる場合

特記事項

 注記事項(貸借対照表関係) 6.偶発債務に記載されているとおり、会社は、A社の借入金に対し 125億円の債務保証を行っている。同社は、財政状態が著しく悪化しているが、財務内容を改善すべく再建に着手しており、同社の債権者から会社への債務保証の履行請求は現時点では進展せず、更に財政状態が悪化した場合には、会社は、履行請求に基づき同社の債務を弁済することになる可能性がある。

注記事項6.偶発債務

(単位:百万円)

割引手形及び裏書き手形残高   2,367
債務保証残高
銀行借入に係る保証

A 社             12,500
B 社               250
その他                75
 計              12,825
合 計             15,192

 なお、上記の債務保証のうち、A社は、財政状態が著しく悪化しておりますが、財務内容を改善すべく再建に着手しており、同社の債権者から当社への債務保証の履行請求は現時点では行われておりません。今後、同社の再建が計画通りに進展せず、更に財政状態が悪化した場合には、当社は、履行請求に基づき同社の債務を弁済することになる可能性があります。

記載例2 貸借対照表日後に重要な製造設備に火災が発生した場合

特記事項

 重要な後発事象の項に記載されているとおり、会社は、平成×年×月×日に発生した火災により、主力製品である△△製品の生産高の減少が見込まれている。

(重要な後発事象)

○○工場の火災
 平成×年×月×日に発生した○○工場の火災により、建物、建物付属設備、機械装置及び工具器具備品合計 1,750百万円(簿価)の損失が生じましたが、当該固定資産には火災保険を付しておりますので、当該固定資産の損失は最終的には、補填されることになります。
 被災した設備の撤去・復旧には、相当の期間を要するため、これまで○○工場で生産しておりました当社の主力製品であります△△製品は、××工場で生産することとしておりますが、△△製品の生産高の減少が見込まれます。
 この生産高の減少が翌期の経営成績に及ぼす影響を見積もることは現段階では困難であります。

注記がない場合等

13 監査人が特記事項として記載する必要があると判断した重要な偶発事象又は後発事象が財務諸表に注記されていない場合には、監査人は、会社に対して注記を求めなければならない。会社が注記の記載をしない場合又はその注記が不十分な場合は、監査人は不適正意見を表明するか、意見を差し控えなければならない。

中間財務諸表監査及び連結財務諸表監査における取扱い

14 中間財務諸表監査及び連結財務諸表監査における特記事項は、本報告書に準じて取り扱うものとする。

発効及び適用

15 本報告書は、平成4年11月15日に発効し、平成4年4月1日以後開始する事業年度に係る監査から適用する。


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